認知症の発症を5年遅らせることで、認知症高齢者を約40%削減し、介護・医療費が2兆円削減できる、と試算した。
多摩大学ルール形成戦略研究所(國分俊史所長)と、早稲田大学マニフェスト研究所が共催して、7月27日に早稲田大学日本橋キャンパスで開催した「認知症予防に求められる行政と企業の役割」セミナー
=写真=で、國分所長が指摘した。
今後、認知症の高齢者が増加することが見込まれることを踏まえ、多摩大学の研究所が調査・研究した結果、國分所長は「介護職員も認知症高齢者に常に付きっ切りになってしまい、現場のケアで通常の3倍以上の工数(「人数×時間」で表した作業量)を要する可能性がある。これにより、介護人材不足をさらに加速してしまう恐れがある」等、認知症増加が社会に与える負の影響の大きさを述べ、「社会全体として、認知症予防に努めるべきだ」と呼びかけた。
その具体的な効果として、2018年現在、552万人いると言われている認知症患者が、このまま何ら有効な施策を取らず、成り行きに任せた場合に2025年には667万人に増加するが、「生活改善を促す等の取り組みを実施し、認知症の発症を5年遅らせれば405万人に抑えることができる、と試算した。これで成り行きより39%削減できる」と指摘した。
同様に、介護・医療費も、2025年に成り行きで10・7兆円となる見込みが、「1・9兆円削減できて、8・8兆円に抑えられる」と述べた。
「発症を5年遅らせる」ための具体策として、「行政と地元企業が連携し、認知症予防としてMCI軽度認知機能障害」検査や健康経営活動等を有機的につなげていけば、地元経済の活性化にも貢献できる」として、その実践例として愛知県尾張旭市の取り組みを紹介した。